矢口加奈子個展
【穏やかなスパイス】2008/06/20-/7/08


切り紙作家の矢口加奈子さん。
放射状や屏風たたみに折った紙を切って開く。そうして切って抜いた型をひとつひとつを叩いて染める。時間をかけていくつもの「歓びのかたち」が染め上がっていく、それがパネルに仕立てあがったものが右のもの。
同じように、切って抜いたモチーフを刺しゅうで細かに刺して止めたバッグが下。

矢口さんはここ数年で4冊の本を出しました。一番先に出版された「やさしい切り紙」が切り紙のちょっとしたブームに火をつけたのでは?と思っているのは私だけかな。
紙とはさみがあれば、誰にでも楽しめる切り紙。ちょっと器用な人なら、あっという間に素敵なものを作れそうです。
kanako
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けれど、不器用にも、その切り紙だけを手段として、ひとつの世界を作った矢口さんの力は彼女ならではのもの。和でも洋でも仏でもキリストでもアラーでもないし、そのどちらでもあるような、あらゆるものへの祝福や祈りを含んでいるような世界です。
下の写真は最近出版された「めぐる季節の切り紙」と「想う日本の切り紙ーこころもよう」という作品集。どちらもうつくしく、懐かしく、失いがちな平凡への祈りが込められています。。


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kanako矢口加奈子(歓びのかたち)個展『一瞬の一日』2007年

初めての「展覧会」と言うものから10年。家族や人の繋がりなど、大切にするものが少しも変わらない矢口さんが私はとても好きです。
おじいさまの「あっと言う間の80年だったよ」というひとことが今回の個展の軸をひっぱることになりました。
紙を折って切って、開き、染めて縫うなどの一連の作業に込められた何かうつくしいものを感じる作品達。Tシャツやバッグなど、使えるものも多いので楽しい展示です。
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バッグなどに使われる切り紙のモチーフもひと際手仕事が細かく、
じっくりと向き合って作られています。
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矢口加奈子(歓びのかたち)個展『ココロモヨウ』2005年

この頃の矢口さんは、移りゆくものに惹かれ始めているみたいです。
朝から昼へ、昼から夜へ、そして夜から朝への空。街並み。
一瞬だけの光りと影を写し取りたい、それがモヨウになったら、そんな感じ。
そのせいか「切紙=歓びのかたち」を落とし込んだバッグまで変って来たように
思います。切り取られた歓びのかたちが、これまでの「カタチ=パターン」
としての使い方から、一枚の葉っぱみたいに使われ始めた。
だから静から動と言ってもいいのかも知れない。何かいのちが吹き込まれたみたいで、私はとても好きです。
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いつも通りのバッグも、何か動きを感じます。端に刺繍されたモチーフのせい。
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一面の空の移り変わりが切紙で表現されています。
誰でもが知っているはずの気持ちのいい景色。
木、シルバーなど、表現素材は様々です。


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【anarog VOYAGER-歓びのかたち】2004年

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若い矢口さんはうんと若い頃(なんと21才)からこの「歓びのかたち」をテーマに
作品展を続けています。
紙を折って同心円状に切り抜いていくかたちはいわば曼陀羅でもあります。
この「曼陀羅」というのは、もちろん意味のあることで、曼陀羅を無意識に描く時は転機が訪れているのだと聞いたことがあります。5年程前「絵を描く」ことによるセラピーに出た時のこと。
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新作のバッグ。紙だけでなく、バッグの生地そのものも切り抜いてあります。素材感がいい感じです。

この「曼陀羅」文様は一般に仏教では聖なるものを
指しているのは周知のことですが、それを「歓びの
かたち」と称する彼女は理屈っぽい人でないだけに、きっと柔らかな感性の持ち主なのだろうな、と思う
のです。
バッグやTシャツ、小物などせっかく切り抜いた紙を
版にして、生地に染めたりプリントして使えるものを作っています。
また、今回はそれに留まらずコラージュにして平面に
挑戦。写実とは遠い表現なのに、なぜかとってもタイ
の風景だったりして、素敵です。
矢口加奈子さんの作品は隣のショップ、サポネリアで
一部扱っています。
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